« 「節分」 | トップページ | 「直根小学校クラブ活動発表会2009」 »

「前ノ沢番楽」について

鳥海町には、およそ380年前から伝わる「本海番楽」という民族芸能があります。獅子舞と舞台芸能の「番楽」があり、「本海流獅子舞番楽」として伝承されて来ました。この「本海」という意味は、鳥海山は昔から修験者の道場であり、京都の三宝院に属する修験者で、芸能に優れた僧本海が村に獅子舞と番楽を伝えたと言われています。この本海行人に関するこれ以上の情報はなく、鳥海の村々から教え、矢島の荒沢を最後に70余歳で没したと言われています。同地区に「本海行人」の碑が建てられています。昭和39年に「本海番楽」として、秋田県無形民族文化財に指定されました。町内には現在13の団体が伝承しています。団体名を「講中」といいます。この一つが「前ノ沢番楽講中」です。

やはり昔は、今の時代のような娯楽がなかった為、番楽は楽しみの一つであったと思われます。前ノ沢番楽の年間行事としては、「幕開き」「直根神社例大祭」「虫追い」「盆獅子」「作祭り」「幕おさめ」や、その他には、新築した家の火伏せをする「柱がらみ」などもあります。

昔は農家を継ぐ長男にだけ獅子舞や番楽を教えたそうです。次男三男は部落を離れる場合が多いため、よそに持って行かれるというような理由で教えなかった様で、一説には神であるという信仰心の強さや、こうした厳しい決まりがあったからこそ、伝承が途絶えなかったとも言われております。管理人が番楽を習う頃には(小学4年)、こうした昔の掟のようなものもかなり緩和され(昭和42年頃)一緒に習ったメンバーの中には、次男や三男もいました。しかし現在では、過疎化の進行、少子高齢化など、伝承して行くにはかなり厳しい条件となって来ました。

管理人が小学4年頃にはじめて習った「もちつき舞」をご紹介します。当時は「からうすからみ」と教えられました。最初は「長坂節」という唄に合わせて臼の周りを4人の舞手が扇を持って舞います。この長坂節も独特のものです。その後、臼のふちを笛の拍子に合わせながら杵(舞い用の細いもの)でたたきます(からむ)。これを5番まで舞います。もちろん1番づつメロディーが違い、舞も違います。結構飛んだりはねたり、杵をバトンのように回したり、それなりのテクニックと体力が必要です。そして後半に入る前「前ノ沢おばこ」という唄に合わせ、再登場します。杵を使った舞で難しいです。ここで「あねこ」と呼ばれる和服姿の女装した男性が登場します。役目は餅返しと、餅取りです。唄が終わるといよいよ後半の5番が待っています。「そっつぐ」という道化がここで出てきます。餅つきの様子を面白おかしく舞手の舞に合わせながら表現します。後半はテンポも早く、当然動きも早くなり、相当な体力を消耗します。機会がありましたら、是非ご覧下さい。鳥海の様々な番楽舞の中でも風変わりな飽きのこない一番だと思います。

*「餅つき舞」 この写真は昭和何年頃のものでしょうか。写真撮影の為に集まったそうで、実際は舞っていないようです(写真はクリックすると拡大します)。このブログに掲載されているすべての写真もそうです。

Img006600kirinuki15Img008600kirinuki_2

                 

                 

                 

                 

*「柱がらみ」 遠く岩手県まで出張したとの事(前ノ沢出身の方の新築時)。前ノ沢番楽の黄金期とも言える師匠達が大勢いた当時です。

Img004kirinuki

この「柱がらみ」も最近では舞う機会もなく、再現が厳しい状況になっている一つです。

裃を着た方、太鼓の方(管理人の祖父)、どちらも他界されました。おそらくこの獅子を舞っている方は現在も95歳で元気に過ごされている方と思います。

まだまだ、珍しい写真が残されていると思います。また次の機会でご紹介したいと思います。

|

« 「節分」 | トップページ | 「直根小学校クラブ活動発表会2009」 »

コメント

日々お世話様です。いつもHP拝見しております。昨年、念願叶って自費出版の運びとなりました。10月中旬より各書店にて販売してます。若き日の神楽師の物語でタイトルは「お神楽初恋巡演記」です。いち早く岩手県立美術館&図書館&博物館のライブラリー・書庫で配架になりました。また情報誌悠悠そしてFM岩手「岩手の本棚」でも紹介されました。昨年は新聞掲載はデーリー東北&盛岡タイムス&毎日新聞が取り上げくれました。今年は岩手日報&日本農業新聞&朝日新聞&観光経済新聞で掲載されました。詳しくはブログ神楽童子「お神楽初恋巡演記」(http://blog.goo.ne.jp/juriyo_1955)参照願います。神楽を愛する多くの皆様に読んで欲しいと思ってます。

投稿: 神楽童子 | 2010年3月21日 (日) 09時48分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 「節分」 | トップページ | 「直根小学校クラブ活動発表会2009」 »